イベントレポート

vol.141

第3回 ONSEN・ガストロノミーウォーキング in 四万十市を開催しました

高知県

~地域みんなでお出迎え、ようこそ!おこしまんと!~ をテーマに高知県では唯一のONSENガストロノミーツーウォーキング。早くも3回目を迎えます。今回は過去2回と大幅にコースを変更し、四万十川の象徴ともいえる「佐田の沈下橋」からはじまる10キロにリニューアル。四万十川は流域全体が「文化的景観」に認定され、美しさだけでなく、川と人の暮らしがとても近い「川とともに生きるまち」。魅力あふれる自然や小京都中村に息づく歴史と文化、山川海の豊かな幸を楽しみながらウォーキングのはじまりです。

開催日時  2023年3月4日(土) 9:00 ~16:00
開催場所  四万十市 佐田沈下橋~不破八幡宮
天候    晴
参加人数  121名
参加費    4500円(大人/子供同額) ※屋形船乗船体験(追加1000円)
主催    四万十市観光振興連絡会議


受付:四万十市役所

四万十市役所で受付を済ませた参加者は、ウォーキングのスタート地点となる「佐田沈下橋」へバスで向かいます。15分ほどのバスの旅となりますが、バスの車窓からは中村の街並み、昨年のコースでもある「後川」の堤防を眺めながらの移動。車に揺られると、これから歩く10キロが結構な距離であることに驚きます。車中ではバスごとにスタッフの方が乗り込み、四万十への歓迎の挨拶に続き、イベントに関する諸注意、四万十市を含む高知県西部地域で使われる幡多の方言講座などがありました。幡多の言葉って、なんか温かみがあっていいですよね。



スタート:佐田の沈下橋(第1ガストロのイーポイント)

スタート地点となる「佐田の沈下橋」ですが、第1ガストロノミーポイントも兼ねており、東屋からはなんとも香ばしい匂いが立ち込めます。ここでは「四万十ポーク」の豚串焼きがビールと共に提供されました。晴れた休日、朝からビールが飲めるなんて・・ONガスならではですね。幸せです。この四万十ポーク、日本最後の清流「四万十川」流域の町、四万十町の高南台地において、澄んだ空気の中でこだわりを持って育てられた豚で、上質で洗練された特徴を持つブランド豚肉。柔らかな肉質と良質な脂、他の豚と比べると甘みが強さが自慢なんですよ。

またこのポイントでは「佐田地区婦人会」のご協力による物販販売がありました。椎茸や文旦といった四万十で収穫される食の恵みから、筍や生姜をネタにしたお寿司の姿が彩り豊か。スタートを控えながらもお買い物を楽しむ参加者の姿もありました。




佐田の沈下橋を望む屋形船の乗船場所前に設置されたONガスのスタート看板。穏やかな四万十川と沈下橋。これぞ四万十といった景色を前に多くの方が記念写真を撮影していました。いざ、元気に10キロ踏破に向け出発です。


初登場:四万十川遊覧船体験

今回、初の試みとして、ウォーキングに「屋形船遊覧体験」を追加したコースが設定されました。企画時は、高知県在住の方の参加が多いと予測していたため、四万十川での屋形船体験に興味を持たれるのか、不安な声もありましたが、いざ募集を開始してみると7割は県外からご参加の方で「屋形船体験コース」が人気。早々に完売となりました。

今回の屋形船、この地で日頃から屋形船営業をされる「さこや」さんに協力をいただきました。四万十の自然が大きく開けた佐田の沈下橋から出向し、20分ほどの遊覧体験。船頭さんのユーモア溢れる説明も楽しいのですが、瀞(とろ)と呼ばれる流れの緩やかな場所では、屋形舟のエンジンを止めて櫓だけで進むため、水の音、鳥の声、櫓のきしむ音・・・と普段、気づかないような四万十川の「音」が聞こえます。透き通った川底の石やキラキラとした水面を眺め、時折、頬をなでる「風」も心地よく、「五感で感じる」四万十川ですね。「さこや」さんのご厚意で、2024年3月末まで、ONガス四万十参加者には10%の割引特典がございます。このイベントをきっかけに興味を持った方、季節を変えて四万十の魅力を味わいたい方、屋形船での四万十川遊覧体験、オススメですよ。




佐田沈下橋

建設年月日:昭和47年 全長:291.6m 幅員:4.2m。イメージしていたより、ずーと長い沈下橋。写真に写る参加者の小さい姿からも橋の大きさが想像できますね。

沈下橋、文字通り「沈下」することから「沈下橋」という名称で呼ばれ、川の増水によって橋がそのまま水面に沈む(沈下する)設計となっているので、あえて欄干がありません。これにより、増水した際の水の抵抗も減り、漂流物によって橋が破壊されるリスクも減らすことができるといった優れもの。四万十川流域は、昔から台風が通過する豪雨地帯。川の増水時に橋をあえて沈下させることで、自然に逆らうことなく自然と共生する。この地域ならではの知恵ですね。また欄干が無いことで周囲の景観も良くなり、「四万十」を代表する風景として親しまれ、「日本の秘境100選」や「国の重要文化的景観」にも選ばれているんですよ。春のウォーキングも楽しいのですが、季節を変えて四万十に再訪したいなと思わせる風景でした。橋を渡る参加者の皆さん、すごく楽しそうです。



ちょっと休憩:第2ガストロノミーポイント(佐田展望所)

沈下橋を渡り終えると、四万十川の緩やかな流れに誘われるように下流に向かって歩きます。さっきまで真横に流れていた四万十川もいつのまにか眼下に広がり、ずいぶんと登ってきたことに気づかされますが、1.3キロほど歩くとちょっと嬉しい休憩ポイントが登場です。ここでは文旦(ブンタン)が提供されました。文旦(ブンタン)生産量の日本一は高知県であることは言わずもがなですが、全国シェア95.1%を誇ります。温暖な気候の高知県四万十市で栽培されている四万十清流文旦は、12月の収穫後、2か月ほどじっくり藁をかけて追熟し、まさに今が食べごろ。水分たっぷりジューシーな果肉が口の中ではじけ、さわやかな香りが広がります。柑橘系の果物は「クエン酸」が多く含まれ、疲労回復にぴったりですね。




第3ガストロノミーポイント(桜づつみ公園)

歩き出して3.3キロ。ちょうど3分の1の距離を歩いたころ、3番目のガストロノミーポイント桜づつみ公園に到着です。ONガスの開催された3月上旬は、桜開花前なのですが、この「桜づつみ公園」500本の桜が防沿いに植栽された桜の名所。東屋やお手洗いが近くにあり、開花時期の夜間にはライトアップイベントも予定しているとのことですよ。桜の咲くころにも来てみたいなぁと思う場所でした。ちなみに桜づづみ公園に限らず、四万十川の国道沿いには桜の花がたくさん。四万十町から四万十市へつづく四万十川には40010本(四万十)を目指して桜が植えられるそうですよ。

このポイントではONガス四万十のお馴染みメニュー。これぞ土佐の味といったタケノコで巻かれた「田舎寿司」と高知県を代表する郷土料理の一つ「つがに汁」が振る舞われました。ツガニとは、四万十川やなどの河川に棲息するモクズガニのこと。出汁がきいた味噌汁が胃に優しい味わいです。また四万十川の流域で採れたイタドリ茶と藤村酒造の「四万十の風」が提供され、桜の木の下で、四万十川を通り抜ける爽やかな風のような純米吟醸原酒を堪能しました。




このポイントでは参加者への「おもてなし」としてお揃いのTシャツを着た地元小学生による太鼓の演舞が披露されました。河原での太鼓は数キロ離れた場所にも響き渡り、すごい迫力です。また大川筋美楽来(おおかわすじみらくる)さんからは「ヒノキのコサージュ」が参加者へプレゼント。”ひのき”ならではの、香りに癒されます。また昨年に続き、「四万十にもう一度来てもらいたい」と認定された観光客のみが貰えるという「四万十リピータバッチ」もいただけましたよ。ということは・・四万十に来年も来ていいよ!というお墨付きをもらえたのかな?ちょっとしたプレゼントですが、なんか嬉しいですよね。



第4ガストロノミーポイント(入田ヤナギ林)

「入田ヤナギ林」 一昨年はゴール、昨年はスタート地点となった場所ですが、今回は「中間地点」としてウォーキング途中に訪れます。四万十川沿いに1,000万本の菜の花の森が一面に広がる入田ヤナギ林。なんと自生ということですが、一面黄色に染まった河原は映画のワンシーンのようで思わず感嘆の声があがります。シャッターを切る回数も多くなる魅力的なポイントですね。


四万十と言えば「カツオ」?「鰻」?人気を二分するメニューですが、もちろん今回のウォーキングでもガストロノミーメニューとして提供です。炭火で焼かれた鰻は、皮はパリパリ、身はふっくら。甘ダレの染みたご飯に乗せて「ミニうな丼」の出来上がり。菜の花広がる河原に腰掛け、焼かれたばかりの鰻を食す。いやぁ。贅沢なひと時です。

また鰻と一緒に提供されたのは「ぶ酎ハイ」。四万十ぶしゅかんは、柚子や、すだちの仲間で、百年以上前から四万十で愛される柑橘の果物ですが、その”ぶしゅかん”を焼酎の水割りに“ギュ~”っと搾って飲むのが格別のお楽しみ。一度味わうと、そのすっきりとした酸味と独特の風味に魅了され後戻りができないことから「禁断の果実」とも言われているのも納得です。四万十市の多くの居酒屋でも取り扱っているそうなのでご賞味あれ。




赤鉄橋と鮎漁の投網体験

鰻丼を楽しんだ参加者は四万十川を離れ、いよいよ中村の町へと向かいます。その際に渡るのが四万十市のアイコン的な存在でもある「赤鉄橋」 大正15年に架けられた歴史ある鉄橋で当時は四国一の鉄橋だったそうですよ。過去のONガスのルートにもなっておりお馴染みのポイントですね。

その橋を眺める広場では四万十川での鮎漁の投網体験がありました。四万十川の川漁師が教える本格伝統漁法ですが、鮎を模した人形の魚を目掛け、網を投げての模擬体験。意外と網を遠くに投げるってコツがいるようですね。




橋を渡ると中村の町。天神橋商店街にもONガスのリボンやのぼりが飾られイベント気分を盛り上げます。この天神橋商店街、一條神社に隣接した200メートルほどの商店街。昭和41年に完成していこう市民に親しまれてきた商店街ですが、近年は魅力的な飲食店が増えてきているそうですよ。また「夜市」などのイベントの開催会場にもなる商店街。四万十市に訪れた際は外せない場所ですね。


第5ガストロノミーポイント(はれのば)

景色が目まぐるしく変わるので、あっという間に感じるのですが、第4ガストロノミーポイントからは3キロ近く離れた、天神橋商店街の複合施設「はれのば」が第5ガストロノミーポイントとなります。この「はれのば」2020年4月10日、商店街の活性化、そして街全体のにぎわいづくりの拠点としてオープンした施設。大きなパラソルが立つテラスが印象的ですが、ここでは「プルドチキンサンド」と「Qingワイン」が提供されました。このチキンサンド、「しまんとリバーベキュープロジェクト」さんの協力により提供されているのですが、さすがBQQのプロ。焼き加減や味つけの塩梅がちょうどよく、思わず「うんまぁ!」と叫んでしまうサンドイッチ。Qingのワインとも相性バツグンでしたよ。





第6ガストロノミーポイント(一條神社)

コースもいよいよ後半に突入。お馴染みの一條神社に参拝です。一條神社は文久2(1862)年、中村御所跡の一部の小森山山頂にあった一條家御廟所跡に、土佐一條氏の遺徳を偲ぶ有志によって建立された歴史ある神社です。この境内にガストロポイントが設営され、ちょっとしたブレイクタイム。土佐備長炭で焙煎された「四万十珈琲」と四万十市で長く愛される欧州洋菓子専門店「アマンドのシュークリーム」が振る舞われました。疲れた身体に温かいコーヒーと甘いシュークリーム。ちょっと一息付けますね。



また一條神社と言えば、マスコット的に人気の猫の「ちびちゃん」が有名ですが、残念ながら昨年の冬に天国に旅立ちました。現在、その後を引き継いだ2代目の「ミコちゃん」の元気な姿を境内に見ることができますよ。まだ子猫でやんちゃ盛り。当日もONガス参加者の目を楽しませてましたよ。




第7ガストロノミーポイント(岩崎公園)

ゴールまで残り2キロを切った岩崎公園が第7ガストロノミーポイント。それにしてもガストロポイントの数が多く、歩く参加者を飽きさせません。次は何が食べれるんだろーと考えながら歩くのもガストロノミーポイントの魅力ですね。さてこのポイントではお待ちかねの「カツオの塩たたき」。現在は日本の各地に拡がっている「塩たたき」ですが、そのブームのきっかけを作ったのは「中村の塩たたき」と言われ、 人気コミック「美味しんぼ」でも取り上げられているんですよ。今回は施設要件の問題から目の前での藁焼きのデモンストレーションは無かったのですが、しっかり藁で焼かれたカツオのたたき。これを食べるためでかでも四万十に来る価値ありそうな一品です。

また飲み物として日本酒「黒尊」と「ジンジャーエール」が登場。このジンジャエールが凄いんです。実際に栽培された農家の方自らが商品化を手掛けたジンジャエール。ハワイの朝市で行列必至のジンジャエールと同じ味。生姜の味が程よく残り、爽やかな味。この味を四万十で飲めるとは!オススメです。「四万十川のお野菜農家 アグリユウベ」でも購入できますのでチェックしてみてくださいね。




四万十のONガスは要所、要所に道案内の方がいらっしゃるので心強いですね。赤いウィンドブレーカーを着た道案内の方は実は四万十市中村の郵便局員の方達なんですよ。地域の方のご協力や「おもてなし」の気持ちでイベントが成り立ってます。ありがとうございます。


ゴール:第8ガストロノミーポイント(不破八幡宮)

いよいよ10キロのONガスウォーキングもゴールを迎えます。今回ゴールとなるのは「不破八幡宮」。今から520年前一條公が幡多の総鎮守として、又一條家守護神として山城国石清水八幡宮を勧請した歴史ある八幡様です。地元の方にとっては一條神社と共に親しまれ、初詣や、七五三、結婚式といった人生の節目にもお参りされる神社です。



ゴール会場では、ONガス参加者への盛大なおもてなしが待ってました。地元で活動する「幡多舞人」による「よさこい」の演舞は大迫力。中村幼稚園の園児による「太鼓」はなんとも可愛らしく、不破八幡宮の宮司さんによる八幡宮と四万十市の歴史小話があり、なんとも賑やかなゴールとなりました。


ゴール地点では昨年に続き、「Cafe bar Reborn」のスタッフが作るスペシャルカクテルが登場です。制服を着たスタッフの方が作る本格的なイチゴのスムージーカクテル。お酒の飲めない方にもノンアルコールのスムージーが提供されましたよ。また四万十市B級グルメ「ころ天うどん」境内に設置された「足湯」で温まりながら食しましたよ。心も身体もほっかほっかのゴール会場となりました。





参加いただいた方のお声

最後に参加者の方から寄せられた声を紹介させていただきます。

「四万十の自然を感じながら美味しいものをたくさんいただき本当に楽しい素敵な時間を過ごすことができました。」「地元の方々や運営スタッフの方々の人柄に癒されながら大変充実した1日を過ごすことが出来ました。食事や景色も勿論ですが、四万十市の皆さんの人柄に1番魅力を感じました。」「同行した母はウナギとカツオが苦手で、食するのを嫌がっていたのですが、普段地元で食べているのとは大違いで、臭みもなく、新鮮で「美味しい!」と完食していました。」「このイベントは『知らない場所に行ってみようかな』と思えるきっかけになる素敵なイベントだと思います。今年は来れなかったけど『いつか四万十市に来てみたい』と思っている人の後押しになって、私の住んでいる四万十市を好きになってくれる人が増えると嬉しいです。来年も期待しています。」

参加者の皆様、関係者の皆様、おつかれさまでした。