イベントレポート

vol.12

ONSEN・ガストロノミーウォーキングin加賀山中温泉を開催しました

石川県

ここは石川県加賀市山中温泉。

幽玄の世界が広がる鶴仙渓の渓谷美(かくせんけい)は漂泊の俳人・松尾芭蕉も虜にしました。この地を舞台にしたONSEN・ガストロノミーウォーキング。

山中温泉の街並みや紅葉真っ盛りの鶴仙渓の自然風景を楽しみながら、地元食材を用いたガストロノミーを堪能できるウォーキングでした。直前まで雨が降る空模様でしたが、スタートするころには雨も上がり日差しも差してきました。

「山中座」から出発

芸妓さんによる山中節四季の舞をはじめ、伝統芸能の数々に触れることができる山中座。漆塗りの柱や格子風の壁、蒔絵を施した格天井など格調高い佇まいの建物です。今回のイベントは、この山中座からスタートしました。「山中漆器のマイおちょこ」を首から下げてスタート。漆塗りで素敵ですね。

マイおちょこを持ってレッツゴー!


写真を撮ろう

美しい風景を写真に収めたい。最近は「インスタ映え」も話題になっていますが、誰もが写真を上手に撮りたいなと一度は思うことでしょう。今回のイベントでは、そのような皆様のために、石川県出身の写真家、「織作峰子」さんによる写真撮影レクチャーも行われました。また、「富士フイルム株式会社」より、カメラの無料貸し出しも行われました。さらにさらにイベント中に撮影した写真によるフォトコンテストも開催されました(フォトコンテストの結果はこちらより


ガストロノミーポイント① 大杉茶屋の草だんご @医王寺

山中座をスタートした参加者がまず辿りついたのは医王寺。山中温泉を開湯した行基の創建と伝えられ、温泉の守護寺として地元から親しまれています。ここでいただくのが最初のガストロノミー。大杉茶屋の草だんごです。大杉茶屋のある地区では、古くから春祭りに無病息災を願って各家庭で草団子を作って食べる風習があります。その文化を体感していただこうと、ヨモギの風味ときな粉と甘さがあう、やわらかな草だんごをいただきました。お皿は山中漆器です。


ガストロノミーポイント② 小出仙のかまぼこ 獅子の里 鮮 @うるし座

国道沿いを進み、その後街中に入ると見えてきたのは「うるし座」。山中漆器の歴史を語る名品から現代の名工まで、山中の伝統工芸品が展示されています。また、職人によるろくろ挽きの実演も見学できました。ここでいただくのは、小出仙のかまぼこ。新鮮な魚、そして味わいある山中の水。この2つを使って造られているのが、小出仙のかまぼこです。そして、生きた酵母をそのまま瓶詰したシャンパーニュの純米銀蔵主「獅子の里 鮮」。マイおちょこに注いでもらうと、シュワシュワと泡を立てます。日本酒が苦手という方にも好評だったこのお酒。シュワシュワ感が病みつきになりますね。


ガストロノミーポイント③ 野菜スティック 常きげん @山中温泉文化会館

お酒も少し入って気分も良くなった参加者を待っていた第3のガストロノミーは加賀野菜を使った野菜スティック。野菜そのもののうまみ、あまみを感じることができた一品です。そして、ここでも日本酒をいただきました。「八重菊や酒もほどよし常きげん」 白山から伏流水が湧き出る「白水の井戸水」と、加賀平野で育てられた「山田錦」で作られた日本酒。4代目当主が、大豊作を祝う一席で詠んだ歌が銘柄の由来です。


ガストロノミーポイント④ いずみやのコロッケ @あやとりはし

黒谷橋を渡って、参加者は鶴仙渓に歩みを進めました。鶴仙渓のもっとも下流で大きな淵をなし奇岩・名瀑に風趣をそろえる辺りが黒谷で、そこに架かる重厚なアーチ型の石橋が黒谷橋です。この石橋は昭和10年に架けられたもので、それ以前にも木造の橋があり、古くから多くの人がこの黒谷橋を通って小松・那谷寺へと旅立ったと言われています。この黒谷橋からこおろぎ橋までの約1.3キロの渓谷には遊歩道が整備され、参加者は紅葉と川のせせらぎの渓谷美を各々楽しみました。そして、到着したのが「あやとりはし」。鶴仙渓上流のこおろぎ橋と下流の黒谷橋のほぼ中間に位置する徒歩専用橋で、草月流家元・勅使河原宏氏が「鶴仙渓を活ける」というコンセプトのもとデザインしました。ここでいただいたのが、コロッケ。ゆげ街道にある和牛の専門店「肉のいずみや」の手作りコロッケは、外はサクサク、中味はホクホク。

 


ガストロノミーポイント⑤ うなぎ饅頭 @道の駅ゆけむり健康村

鶴仙渓の美しさを堪能するウォーキングも終盤に。こおろぎ橋に到着しました。こおろぎ橋は、総ひのき造りの橋で山中温泉を代表する名勝地です。ちなみに、橋の名前「こおろぎ」の由来は、かつて行路が危険だったので「行路危」と称されたと言われ、また、秋の夜に鳴く「こおろぎ」からもきているようです。1年を通して風情を楽しめる橋ですね。

さて、鶴仙渓を後にしてたどり着いたのが、道の駅ゆけむり健康村。ただの道の駅ではございません。温泉、プール、フィットネス施設、体育館、テニスコート、グランドゴルフ場などが併設され、もちろん地元の特産品が並んでいます。いただいたのは、「うなぎ饅頭」。イベントに合せて山中温泉の料亭「明月楼」の料理人、日本酒バー「和酒BAR縁がわ」のマスター、菓子店「山海堂」の職人たちが開発した新たな山中グルメです。


ガストロノミーポイント⑥ カニ汁、菊の湯アイス @山中座

ウォーキングも終盤に入りました。ゆげ街道を歩きます。温泉の祖である長谷部神社を中心に広がるゆげ街道は、山中漆器や九谷焼などのギャラリー店が多く軒を連ねた通りです。ゴールに向かう途中、ちょっと寄り道で「よしのや別荘 依緑園」の見学を。ここは昭和天皇がお泊りになったり、吉田茂が佐藤栄作を首相に指名した「山中会談」が行われたり等、歴史の舞台となった場所です。


そして、約7kmのウォーキングもついにゴール、山中座に戻ってきました。ここで最後のガストロノミーです。ラストを飾るのは、あの料理の鉄人、道場六三郎さんが監修したカニ汁です。地元野菜とカニのお出しが合わさった絶品のお料理です。器はもちろん山中漆器。道場六三郎さん自ら参加者にご提供。この日はやや寒かったので、冷えた体に鉄人が監修した温かなカニ汁はなんとも言えません。まさにガストロノミー最後を飾る一品です。石川こしひかりのおにぎりと共にいただきました。そして、デザートには菊の湯アイス。「山中や菊はたおらじ湯の匂(にほひ)」松尾芭蕉が詠んだ一句にちなんで、開湯1300年の歴史が詰まった名湯を使った温泉入りアイスです。



ゴールは温泉チケットを持って、山中温泉共同浴場「菊の湯」へ。1300年の歴史があり、肌にやさしいお湯です。

山中の魅力がぎっしり詰まった一日でした。また訪れたいと思います。ご馳走様でした。

めぐる

山中温泉の街並みや紅葉真っ盛りの鶴仙渓の自然風景を楽しみながらのウォーキングでした。少し肌寒い時期でしたが、織作峰子さんのフォトレクチャーやフォトコンテストも実施され、カメラを片手に各々が自分だけの風景を探しました。

たべる

料理の鉄人 道場六三郎さん監修のカニ汁をはじめ、加賀山中ならではの食材を用いたガストロノミーをいただきました。伝統的なお料理からイベントに合せて開発されたメニューまで幅広いお食事が参加者を楽しませました。日本酒もおいしくいただけました。

つかる

今から1300年前に奈良時代の高僧・行基が発見したと伝えられている山中温泉。とても肌にやさしいお湯で加賀温泉郷として名高く知れ渡っています。ウォーキング後にいただいた無料入浴券を持って共同浴場菊の湯へ。ウォーキングで程よく疲れた体を温泉の力で癒しました。